流星☆コミュニケーションノート③

不真面目な部員に頭を抱えた部長が始めた交換日誌。
幸地先生が血文字赤ペンでちょっとだけ返信します。

表紙の裏に書かれたルールは以下の通り。
担当の者は月曜に顧問に提出すること。 
顧問火曜に部室の所定の場所へノートを返却




・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・。

\(^o^)/

ちょっと、いま、ええそうですね
ガラにもなく顔文字書いちゃうくらいには動揺してますけど。

どうしてこうなったんですか。

あのう、先週末は僕たちのために誕生会を開いてくださって、
ありがとうございました。正直、びっくりしました。
僕の誕生日が9月29日、五月先輩の誕生日が10月1日で、
驚きの、たった2日違いだってことに気づいたのが夏の終わり。
お祝いの言葉くらいはもらえるかな?って期待してたのは否定しません。
でも、まさか皆さんに生物室で盛大に祝ってもらえるなんて・・・。

美空先輩がチカちゃん、チコちゃんと一緒に作ってくれたケーキが
本当に
本っ当に
ほんっとぉ~~~~~~~に美味しくって!!!
もうもうもう、思い出すだけでも口の中がじゅわってなって!!!!

あ・・・おいしかっただけじゃないですよ、もちろん。
えっと、その、つまり・・・・・・うれしかったです。
みんなの気持ちが。
ずっと忘れられない誕生日になったなって、そう思います。

で。だからこそ・・・
どーーしてこうなっちゃったんですか!?
こないだの誕生会でいっぱい色々お祝いしたじゃないですかっ。
わざわざ僕たちに内緒で日誌にまで仕込むなんて、
正直またびっくりさせられてます、主に別の意味で!
いえ・・・だいたい主犯格はわかってますけど。

一応確認のためお尋ねしますが、これ僕とジュリエッタですよね?
幸地先生からのありがたいメッセージ潰してますけど大丈夫ですか??
で、左の方で干からびてるのは五月先輩のつもりですか???
ヘタなんだかうまいんだか、うまいんだかヘタなんだか、ああもう。
美空先輩のかわいらしいイラストにほんわかする余裕を僕にください!
・・・マーベル先輩のカオス力を侮っていました。
いかやじるし・・・・・・

渡先輩のは敢えてノーコメントにしておきますね。
あとで五月先輩に「バッチリ」とツッコミもらえるといいですね(笑)

あ・・・そうだ。


私信、五月先輩へ:
研究会のみんなは勝負の行方を心配してますけど、
僕は最初から五月先輩が負けるわけないと思ってますし、
渡先輩みたいに空から覗き見しに行ったりしません。
だから先日、偶然通りすがりに練習の様子を見かけたんですけど・・・

なんだか、やけに楽しそうじゃないですか?
あのまま陸上部に入っちゃっても違和感ないくらい、というか。
・・・五月先輩が放課後、研究会に顔を出さなくなって何日経ちましたっけ。
誕生会の時だけ珍しくって感じでしたよね。

一応クギを刺しておきます。
勝負は勝負。100mで五月先輩が勝てば、
五月先輩の所属はこのUMA研究会のままですよ。
そこのところ、よろしくお願いします。

ほら星治、そんなトゲトゲ拗ねるなよ。
五月くんに、部活に顔を出して欲しい、
みんなを忘れないでって素直に言えばいいのにさ。
UMA研究会の男子には意地っ張りが多いなあ、はは。

五月くん。あと一週間で体育祭だね。
勝負にかける、君のひたむきな努力がすごいと思うよ。
その結果が「勝ち」や「負け」、どんな形で出るのかは、
誰にもわからないけれど・・・でもね。
君はただ勝つため、競うために走ってるんじゃない。
練習を見ていて、それだけは確かに感じたよ。
みんなで応援してるからな。がんばれよ!

そうそう、上の寄せ書きは天野くんとマーベルくん発案だよ。
うーん・・・確か、先生がメッセージを書いたときには、
天野くんのメッセージと星治の似顔絵だけで、
もうちょっと、まだ普通・・・だったはずなんだけどな・・・。
ちなみに渡くんの言葉にある” We live and learn.” は、
一生の間に人間はいろんな経験をするものだ、ということわざだよ。
日本語に訳すと「長生きはするもの」かな。
じつに渡くんらしい、厳しくも優しいメッセージだね。
あ、でも「バッチリと気を引き締める」ってさ、
それを言うなら「シッカリと気を引き締める」じゃないか?

幸地


――渡先輩でも高校生らしい凡ミスをするんですねー。(部長)
――センセもしかして、タテヨミ知らナイ??(マーベル☆)
――たてよみ? なんだい? たちよみじゃなくて?(幸地)
――だから~かしらもじをタテによむと~~・・・ネッ♪(マーベル☆)
――もういい。さわるな。やめろ。(渡)
――マーベル先輩、僕は疑問で頭がいっぱいです。
なぜ先生のメッセージを上書きしましたか。(部長)
――顔だけじゃ物足りないナ~ってカラダ描き足し♪(マーベル☆)
――なぜ五月先輩が亜空間から生えましたか。(部長)
――もう渡センパイの上にしかスペース空いてなかったカラ♪(マーベル☆)
――ジュリエッタだけリアルすぎて怖いです。(部長)
――ホンモノスケッチ♪かいしんのいちげき!(マーベル☆)
――最後の質問です。僕はなんて言ってるんでしょうか。(部長)
――ハ・ピ・バ♪♪♪(マーベル☆)
――自分で自分にハピバ・・・。(部長)
――もういい。さわるな。やめておけ・・・。(渡)



――来週、俺の番だろ。
色々そんときな。
誕生会サンキュー。(五月)


チカ:宇佐見千香です!ヽ(・∀・ )ノ
チコ:宇佐見千子で~すヽ(*´∀`)ノ
チカ:「今日は五月昴の当番じゃねーのかよ」と思った、そこのアナタ。
チコ:ぴんぽ~ん♪ でもさせな~い。やらせな~い。
チカ:スーパーうさみの看板娘として日々精を出す、通称チカチコ・・・。
チコ:しかし彼女たちに、裏の顔があることを知る者は少ない・・・。
チカ:そうっ! 何を隠そう我々は、美浜高校放送委員会の双子エース!
チコ:副音声、二重音声、はたまた世界同時中継、ドッキリまでおまかせあれ!
チカ:というわけで、日誌をジャックさせていただいちゃいますよっ。
チコ:題して~?

はつらつ☆チカチコだより
~波乱まみれの運動会!?気になるカレは野獣系男子~

チカ:昨日の体育祭を、臨場感あふれるダイジェストにて振り返ります!
チコ:この記事の取材・執筆料は幸地先生にまるっと請求しとくね~っ。

【AM 9:45 女子三人四脚】
チカ:女子の結束力が試される、ほのぼの友情コーナーでーす♪
チコ:ちなみに私たちは委員会で忙しいので、競技参加は免除でーす。
チカ:二人三脚だったら絶対誰にも負けない自信あるよね、チコ?
チコ:もちろんだよチカ。私たち最強コンビだもんっ。
チカ:競技終了後の天野美空さんにインタビュー。今どんな気持ち?
美空:練習では、3人で呼吸を合わせるのが難しかったけど、
今日は最後まで転ばずに走り切れたから、すごくうれしかったよ!
チカ:かっわい~い。ありがと、美空!
チコ:テレビ的にもありがたい、模範生的アンサーだねっ。
美空:ど、どういたしまして・・・(ほめられてるのかな・・・)

【AM10:50 借り物競争】
チカ:お題の書かれたメモ通りに借り物をして、ゴールを目指します!
チコ:ただし、お題はナゾナゾになってます。マーベルくんが出場するよ!
チカ:金髪碧眼の転校生は全校注目の的・・・おおっと~?
チコ:メモを見たマーベルくん、すごい速さで観客席の美空を連れ出した!
チカ:わたわたしてる美空を半ば抱えるようにして、今ゴールっ!
チコ:取材班、駆けつけますっ。一体どんなお題だったんですか~!?
マーベル:「手をまわしてとぶものなーんだ?」だヨ~♪
チカ:えっ(取材班、めくるめく妄想の世界へ)・・・・・・ひゃーっ!
チコ:チカ記者、なぜか赤面。で、どーして美空を借りてきたの?
マーベル:ホラ、さっき美空が三人四脚でお友達と「やったネ!」って、
抱き合ってぴょんぴょん跳んでたでショ? あれあれ。
だから答えは、ハグして喜べる「アルカダシュ(ともだち)」で決まり!
え、男子連れてこい? オトコよりオンナノコ、美空の方がイイもん♪
・・・正解は「なわとび」? アハッ、間違えちゃっタ♪♪

【PM12:10 昼食】
チカ:食欲の秋! といえばこの人を置いて他にはいないでしょう!
星治:はあ・・・どうも。何しに来たの2人とも。
チコ:ちゃんとクラスに溶け込めてる~? ハブられてない~?
星治:見ての通り、お菓子を囲んで和気あいあいとやってるよ。
チカ:そうなんだよね。しかも星治を中心に男子が集まってるっていう。
チコ:意外すぎて取材も忘れそう~(コソコソ・・・本当は何のつもり?)
星治:ボソボソ・・・(のんきに昼食と見せかけて、次の騎馬戦の作戦会議)
チカ:地面のラクガキに見えたのは騎馬戦の布陣図ってわけね。
チコ:抜け目のない戦闘準備。西ノ原軍師、恐ろしい子・・・!
(この後の騎馬戦、星治たちは圧倒的戦力で学年優勝を奪取しました)

【PM14:30 フォークダンス】
チカ:あらかたの競技が終わると、全3年生で円形ダンスを踊るよ。
チコ:音楽に合わせて、パートナーを交代していくんだよ~。
チカ:高校生活の思い出に、意中のヒトと踊れたらラッキーだねっ♪
チコ:って、あれ? 綺麗な輪がくずれて、なぜか一部に女子が密集・・・。
チカ:ああっ、あれは! 我らが王子様、渡彗斗先輩じゃないですかー!
チコ:3年じゃない子まで交じって、先輩にダンスの相手をせがんでる~。
チカ:こらーっ! 順番は順番、恨みっこナシですよ~っ!
チコ:な~んて油をそそいだら、返り討ちに遭うのは目に見えてるし。
彗斗:みんなの気持ちは本当に嬉しいけれど、全員とは踊れないよ。
それにね。音楽で限られた、たった10分そこらの時間じゃ、
君たちひとりひとりに対して満足なエスコートもできやしない。
出来ることなら・・・そう、僕の方から誘いに行きたいくらいだ。
こんな人目につく場じゃなく、深い夜・・・2人きりの月の下。
時間なんて気にせず、スローなリズムで揺れていたいな・・・。
ね、そうは思わない?
チカチコ&全女子:ずっ・・・きゅううううううううううううん(*´Д`)
チカ:渡先輩の作り物みたいな瞳にノッカーウ★彡だよ~~~っ/////
チコ:まるでウソみたいに美麗な微笑み、いただきました~~っ/////

【決戦の前に~幸地先生NG集~】
チカ:大玉転がしの大玉が暴走。あわや放送ブースに突っ込むところ。
チコ:下敷きになってストッパーになってくれて、ありがと先生!
チカ:紅白玉入れ。とあるカゴにだけ玉が全然入らない。ミステリー・・・。
チコ:ところでカゴを支えてた先生、メガネ壊れてたけど大丈夫ですか~?
チカ:綱引きの審判をする先生。替えのメガネを取りに行く暇もなくて。
チコ:しげしげと近づけた顔に、左右に振れた綱が力いっぱいバチコーン☆
チカ:アメ食い競走の審判をする先生。メガネもかけたし、これで安全!
チコ:でもアメが入った小麦粉いっぱいの箱、転んで頭からかぶっちゃった・・・。
チカ:先生、どんだけ不幸なんですかー!?
チコ:取材班的にはオイシイですけど~~!

【PM15:15 学年対抗100m走】
チカ:美浜高校体育祭、最後を飾る華。学年対抗100m走!
チコ:勝負は一瞬のきらめきにかける、これぞまさに青春っ!
チカ:学年代表として五月が出場するよっ。
チコ:陸上部エースと走るのに、勝ち目ないじゃ~ん?
チカ:というのが、勝負を見守るおおよその生徒の見解である。
チコ:各選手、スタートラインに並びます。
チカ:秋の風さえ止ませるほど、張りつめた緊張感の中・・・。
チコ:スターターピストルの音が運動場に鳴り響く!
チカ:一斉に土を蹴り、弾丸のように前に飛び出すっ!!

・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・

チカ:優勝は・・・2年、五月昴。タイムは・・・11秒17!?
チコ:2位の射手矢淳くんのタイムは11秒21。惜しかったね~。
チカ:走り切って座り込んだ射手矢くんに、手を差し出す五月。
チコ:二人は肩で息をつきながら、無言で握手を交わしたのでした。
チカ:場内、健闘をたたえる温かい拍手に包まれ・・・。
チコ:熱い男同士の戦い、めでたしめでたし☆


チカ:って、ちょっと待ったーーーー!!
チコ:あれ、速いとかいうレベルじゃないよ。3年押しのけて速すぎ!
チカ:美空たちには悪いけど・・・なんで五月は陸上部入らないわけ?
チコ:そこんとこ、ちゃんと回答しといてよねっ。よろしく~!

――てめーら・・・ドッキリだか乗っ取りだか知らねーけど
にしたって長ぇレポートだな。満足か、おい。
俺の書くスペース、マジでねーし・・・。
あー。もういいんじゃね。(五月)

――先生の返信スペースを使っていいよ。
明日は職員会議で忙しくて。(幸地)

――ウソくせー。(五月)


11秒17か・・・。中3の頃とあんま変わってねーな。
今でも普通に、全国で10位以内狙えるレベルだろうな。
もしも、あのまま続けてたら。
いや・・・このまま続けたら、もっと上に行けるかも。

でも、やんねーよ俺は。

走ったり跳んだりは気持ちいいし、得意だし、勝てるのは楽しいし。
だからこそ、今でも陸上部を冷やかして遊んだりしてさ。
正直言えば、好きだな。きっと。走るのも悪くない。
射手矢もそれがわかってるから、俺に戻れって言ったさ。
ああ、そうだな。確かに好きだし、楽しいし、得意だ。
・・・だけど本気にはなれない。

あいつは100m走で俺に負けた。
走った直後はお互いに握手もしたけどさ、
片付けが終わったあと、あいつ、一人で校舎裏行ってた。
なんせ、練習のタイムでは俺に勝つことが多かったんだから。
すげー悔しかったんだろうな。
やっぱりそうだ。射手矢は、走んなきゃ死ぬヤツだ。
走ってなきゃ息ができない人間だ。いるんだよ、そういうの。

でも俺は違う。俺は走らなくても息ができる。
俺、陸上競技で負けても、悔しいって思ったことがないんだ。
ああ、こんなもんかって。ふーん、この順位かって。
でも、まあこれで十分だろって思ってさ。
何が十分かっていうのは・・・あー、これも書かなきゃ話通じねーか。

つまり、俺は中学から美浜町に来た転校生だったんだけどさ。
中学の転校生ってのは、ただでさえ立場があやういっつーのに、
いきなり田舎の中坊のど真ん中に入り込まなきゃなんなくて。
ぼんやり突っ立ってたら、ナマイキだっていちゃもんつけられるし。
だからってケンカしててもキリがない。どーしろっつーんだよ。
で、俺はそれを、もともと美浜町に住んでたじーちゃんに訴えた。
そもそも、じーちゃんの体の調子が悪いからって家族で越してきたんだ。
だから「お前のせいで俺がこんな目にあってんだぞ!」ってさ。
・・・ただの八つ当たりだよな。あーあー俺マジでだっせー・・・。
そしたらじーちゃん、泣きべその俺の尻をひっぱたいて、
「男なら、誰にも負けないことで相手を黙らせろ!」ってしかりつけた。
・・・じーちゃん、きびしかったな。元漁師で、すごみもあったし怖かった。

でもさ。しかられた瞬間・・・ああナルホドって、わかったんだ。
みんな、俺がどういう奴なのかわかんねーから、いちゃもんをつける。
だったら俺自身で俺っていう存在を作って、相手に認めさせればいい。
幸い、俺はそれなりに足が速かったし。
陸上部に入って、毎日走った。がむしゃらにひたすら走った。
そしたらいつの間にか「運動ができる五月」ってレッテルが貼られて、
絡まれることもケンカ売られることもなくなった。
・・・わかるか? つまり、俺にとっての陸上は、
この美浜町になじむための手段だったって話だよ。

その後しばらくして、アドバイスをくれたじーちゃんは死んだ。
でもじーちゃんの死なんて関係なく、俺のタイムはどんどん上がって行く。
中3の記録会のとき。なんか俺、すげースピードで走ってるけど・・・
なんで走ってんだろう、って。
俺の目的はもう達成されたのに、どこに向かって走ってんだ?
走って、気持ちいい。高跳びして、気分がいい。
でも、それを続けることで得られる喜びってなんなんだ?
冷静になった。もう今までみたいにがむしゃらに走れないって思った。
だからやめた。

・・・わかるだろ。俺は射手矢とは決定的に違う。
今回の勝負で、あいつにはそれを理解して欲しかったんだ。
俺はライバルにはなれない。もっと本気の奴と勝負するべきだ。
・・・いつか、そういう相手に出会えるといいよな、射手矢も。

あ、言っとくけど。
高校入って写真始めたけど、そっちは陸上とは違うからな。
自分が得意なことじゃなく、好きで選んだことなんだ。
勝てばうれしいし、負けたらちゃんと悔しい。
楽しみも苦しみもひっくるめて、写真って面白いんだよな。
こうやってマジになれるのは、つまり・・・本物ってことだろ?
ま、その写真やってたら、ネコミミになってたっていうオチなんだけどな・・・。
でもいいさ、別に。割と好きで受け入れてんだし。

だから、つまり・・・陸上部には入らない。
勝負にも勝ったし、誰にも文句は言わせねーよ。
俺はUMA研究会のメンバーだ。
いままで通り、これからも。

・・・ったくお前ら、どんだけ心配してんだっつーの!

私信:
だから、そこのライバル。
俺は本気で勝負してるから、安心しろって。な?


ハロー! おまちかね、マーベルくんのとーばんサンだヨ~♪
みんな元気カナ? まいにちハミガキしてるカナ?
元気のないコは、マーベルくんがパワーをおすそわけしてアゲル☆
なんてったってボクはと~ってもゴキゲン♪ ふっふふ~ん♪♪
どーしてだかわかるカナ? わかっちゃうカナ~??(^v^)
そー! だ~って五月が生物室にいるんだモン♪♪♪
当たり前だケド、とっても大切で、と~ってもうれしくって、
でもでも、うれしいだけじゃなくって、もっとおだやかで・・・
んーとネ。秋をつつむ、ふんわりした風のニオイににてる。
すご~く、ホッとするキモチ。
みんなもホッとした?

体育祭はおつかれサマ!
走ったヒトも、走らなかったヒトも、
心配したヒトも、心配されたヒトも、
みんなみんなすっごくがんばったよネ~。
それにしても、五月がボクとおんなじ転校生仲間だったなんて!
夏に美浜高校に転校してきたばっかりのボクに、
学校や町を案内してくれたり、ゴハンいっしょに食べてくれたり、
なんだかんだって、やさし~く世話をやいてくれたのは、
ナルホド、そーゆーコトだったんだナ~って・・・♪
ますます親近感アップ。これぞ「手をまわしてとぶもの」だネ☆
とゆーワケで、ボクは最近五月にぎゅ~してカンシャのキモチを
伝えようキャンペーン中なんだケド・・・どーして逃げるカナ~。
まっ、ハズカシがり屋サンだからしょーがナイよネ。

そうそう五月はネ、さいきんモテ度UPなんだヨ~~??
体育祭で走ったのを見てから五月のカッコよさに気づいた
キュン・・・☆なオンナノコたちが、ちらほら教室のぞきに来るんだヨ。
でも五月はぜんっぜん相手にしてあげナイんだモン。
モテると困っちゃう? やっぱりハズカシがり屋サンだネ。
そーゆー時には「君とスローなリズムで揺れていたいな」って
ほほえんでアゲルんだヨ。きっとみんなキュンキュンキュン☆
あ、これ最近のリスペクトなマイブーム!

――竜巻で吹っ飛ばされたいようだな・・・(渡)

さてさて、体育祭が終わってもゆっくりはできないネ。
もーすぐソコまで、星浜祭がコンニチワしにきてるヨ~~!
う~ん、学生サンはいそがしい♪ ワックワクがとまらナイ♪
そういえば日誌だけ読んでると、星浜祭の話し合いは、
渡センパイが「会議その1」って書いたっきり、
止まったまんまに思えるカモだケド・・・そんなコトありまセン!
毎日マジでマジメにガチで話し合ってきたよネ。スイーツ食べながら♪
そのけっか、今年のUMA研究会の出しモノは・・・・・・

喫茶店「踊る!ケモミミ御殿~メイドさんもいるよ★~」(仮)

にケッテイしたヨ!!ってごほうこく。やったネ(* ´艸`)
Çay(お茶)とBal(ハチミツ)の用意はまかせて。
ウチのじまんの一品で、みんなの舌をとろけさせちゃう♪
カフェの正式な名前は、ただいま考え中。
みなさまからのキバツなアイディア、おまちしておりマス!

お祭りまであと2週間。
今日もはりきって、お店やさんの準備をすすめましょ~~~!!
いじょー、マーベルくんでした☆☆☆
İyi günler♪♪

体育祭が終わって、学校が星浜祭ムード一色になったね。
忙しそうにペンキやダンボールを運ぶ子たちをよく見かけるよ。
一生懸命な姿を見ていると星浜祭が楽しみになってくるなあ。
ただ、張り切って準備するのはいいけれど、
下校時間だけはキッチリ守ってもらわないとな。
作業に夢中になって、遅くまで教室に残る子も多くてさ、
先生、学校中をまわって下校指導ばかりしているよ。
この頃は日が落ちるのも早くなってきたし、
みんなも暗くならないうちに家へ帰るんだぞ。

そうそう。五月くんが部活に来てなかった間に、
UMA研究会の出し物も決まってたんだよな。
先生はみんなの自主性にまかせたいから、
あまり内容にはタッチして来なかったんだけど、
喫茶店、踊る、ケモミミ、それにメイドさんって・・・。
え、本当にするのかい? メイドさん。
前々から案は出てたけど、さすがに冗談かなって。
でも本気で? 誰が? って・・・いや、それはもちろん、
ひとりしかいないだろうけど、さぁ・・・。

そういえば、あの宇佐見くんたちが研究会の出し物に
「全面協力する!」って申し出てくれたんだっけ。
喫茶店をするのにスーパーの協力はとてもありがたい話だね。
宇佐見くんたちといえば、このあいだ廊下で会ったとき、
「大事なお話があるので今度1、2時間くらい時間ください」
って言われたんだけど、なんなんだろう?
目をキラキラ(というより、ギラギラ・・・?)光らせるくらい、
なんだか、ものすごく張り切ってたよ。
・・・・・・。
ちょっとだけいやな予感がするのは、
気のせいだよな。うん。

幸地


気持ちのいい晴天が続く、10月。
涼しい風は、時折ひんやり冷たく感じられるようにもな・・・
ああ、もういいな。

やあどうも、UMA研究会の会計兼書記だ。
もう社交辞令なんて使わない。敬語も使わない。必要ない。
なぜなら僕は非常に忙しい。
いや・・・忙しいとはちょっと違うか。
追い込みの時期は、みんな忙しいに決まってるんだ。
忙しいというよりは、そうだな・・・うん。
頭脳戦の最前線に立っていて「めまぐるしい」のが正しいな。

星浜祭実行委員会とミーティングを重ねながらも同時に
庶務会計委員会と予算・借入品についての駆け引きを繰り広げ、
準備作業にまつわるエトセトラで美化委員会をなだめつつ、
下校時間の取り締まりおよび出展内容の検閲に関して
あまりに神経質すぎる風紀委員会に抗議する毎日。
特に風紀委員会、一体なんなんだ彼らは・・・。
僕だって割と生真面目で風紀にはうるさいって自覚があるけれど、
にしたってあれは厳しすぎるんじゃないか?
それとも、この夏からというもの君たちに感化されてしまって、
むしろ僕の方があちこち緩くなってきてるのか・・・。
そうだな。そうかもしれない。高校の文化祭の出し物に
「ケモミミ御殿」なんてモノを許してしまうほどだからな・・・。

振り返ってみれば、マーベルが出したトリッキーな提案の他にも、
ミドリムシやミジンコの研究展示とか、美浜町植生調査とか、
ジュリエッタ(オオサンショウウオ♀)の餌付けショーだとか、
生物部っぽく見せかけるための企画案はいくらでもあった。
というか僕が提案した。「地味すぎる」って悉く却下されたけれど。
あれでもないこれでもないと悩んだ末に、
「身近な人に意見をきいてみたらどうかな?」という先生の一言で、
君たちそれぞれの「身近なヒト」から持ち寄った企画案・・・あったな?
一応ここに記述しておく。
ついでだから某部員のツッコミも貰ってきた。

●対戦「弱肉強食ゲーム~オレサマオマエマルカジリ~」
――ただの早食い大会ですって言わねーとしつけるぞライオン野郎。

●迷宮「ぼくのわんわんお~絶対感動する帰巣本能テスト~」
――お前ら以外のペアだと行方不明者出そうだからやめような~。な~?

●占い「ラブコネクション~意中の彼女と精神世界で繋がる方法~」
――そういうリアルにありそうな本のタイトルみたいなのやめろマジやめろ。

●殺陣「魔獣式必殺仕事人~綺麗な花にはなぜ刺があるのか~」
――お前のAS、意外とそういう時代劇系が好きなのか・・・渋いな・・・。

ああ・・・一切、今後の参考にならないな。全然ならない。
これと比べたらケモミミで喫茶店を営業する方が何倍もマシだ。
・・・と思ったら、ようやく腹が決まってきたよ。

はぁ・・・宇佐見さんたちの所へ行ってこよう。
これはどうやら覚悟するしかないらしいぞ、五月。
そして幸地先生。ご迷惑をおかけしています。
星浜祭を円滑に進めるためにも、どうかご協力をお願いします・・・。

それじゃあ、ケガにだけは気を付けて作業を進めるように。
今週末に向けて、あと一頑張りしよう。

いやあ・・・「身近な人」、これが意外な盲点でさ。
君たちのご家族、特に歳の近い兄弟に相談したらどうかな?
って思ってたんだけど・・・後で知ったんだ。
実は、研究会のメンバーはみんな一人っ子なんだって。
そうかー。兄弟がいるのは俺だけなんだなあ・・・。

考えてみれば、四六時中一緒に過ごしているんだから、
一番身近っていうとASになるのかもしれないな。
彼らに高校の文化祭を説明するのは難しいけどね・・・。
そういえば、先生も意見を聞いてみてはいたんだよ。
その、身近なヒトに。そしたらさ・・・。
「一切万物は等質。煩瑣なれば全てを零に帰す」
うーん。いつものことだけど・・・
わけがわからないよ。はは。

いよいよ星浜祭だね。
五月くんが戻って、宇佐見くんたちが関わってから
急速に出し物の準備が進んできたよなぁ。
びっくりするくらい先生、ついていけてないよ・・・。
もはや気分はマネキンというか、お人形さんというか、
女子のパワーはすごいなって感心してる所でさ・・・。
あとマーベルくんの演技指導。あれは大変だね。
でも確かに今回の企画のためには必要な練習なんだよな。
五月くんはずいぶんと抵抗していたけれど、
俺も照れを振り切ってやらなくっちゃな・・・よーし。

大変なこともあるけれど、それぞれの頑張りは、
必ずいい結果になって返ってくるはずだよ。
みんなで楽しい星浜祭にしよう!

幸地


Happy Halloween!! (*´▽`*)

お帰りなさいませ、お嬢様。
私はこの屋敷『エンドレスパーティ』のメイドをつとめております、
フランシェスカ美空と申します。
深霧の森を抜けた長い道中、さぞお疲れでしょう。
温かいお紅茶とケーキをご用意させていただきました。
どうぞごゆるりとおくつろぎ下さい。

それでは、お嬢様にご奉仕させていただく、
当屋敷の執事たちをご紹介させて頂きます。
あら・・・? お嬢様のご到着をお喜びになったご主人様、
フェニックス伯爵も直々にお出ましになられるようですよ。

【ブラックレオン昴】

「耳とシッポだけは触んなよ。絶対触んなよ!」
ご主人様に飼われている黒猫でございます。
使用人として奉仕させるため、魔術で半人間化しています。
未熟な礼儀作法と反抗的な態度のせいで、
常にご主人様からのお叱りを受けてばかり・・・。
しかしその反抗も、シャイな性格の裏返し。
今日もお嬢様のお足元につかず離れず控えております。

【フェンリル朝日】

「甘々のハチミツまみれにしてあげるネ♪」
当屋敷の番犬でございます。
紅茶の知識を誰よりも豊富に有している優秀な執事です。
普段は人懐っこく愛嬌を振り撒く忠犬なのですが、
満月の夜になると首の拘束具を解き、餓えた狼男に変貌します。
こうなると、もう誰にも手がつけられません。
お嬢様、満月の夜はくれぐれも外を出歩かぬよう・・・。

【ナイトメア星治】ケーキはいかがですか?

「Trick or Treat?・・・イタズラして欲しいんでしょう?」
当屋敷最年少の執事でございます。
宮廷の正餐で食べられそうになっていたところ、
通りすがったご主人様に気まぐれに救われた子羊です。
よく気が付く聡明な執事ですが、とても食いしん坊で、
お嬢様が口にお運びになるそのケーキをねだるのが玉にキズ。
たとえ食べかけでも、どうか油断なさいませんように。

【クリスティアン銀之助】

「なんで俺、執事でも不幸なんだろう・・・」
新参の執事でございます。
当屋敷へお帰りになったお嬢様を人間世界へ連れ戻すため、
教会から派遣されたエクソシストだそうです。
しかしドジを踏み、力の源となる聖なる眼鏡を奪われた挙句、
ご主人様に呪いをかけられて半悪魔化しています。
お嬢様を助けるチャンスをうかがっている様子ですが、
今日も執事としてご奉仕に精を出しております。

【フェニックス彗斗伯爵】

「退屈だ。ご主人様って呼んでごらん」
屋敷の主、私たちのご主人様です。
元はこの領地を治める貴族でしたが、
とある事件を境に吸血鬼となり不死の力を得ました。
連綿と続く時間を気だるげに持て余していらっしゃいます。
人間の女性を連れ去っては気まぐれに愛でるのが最近のご趣味。
その美貌と鋭利な視線に捕らえられれば、
たちまちお嬢様はご主人様の虜囚となってしまわれるのです。

ご主人様の魔力で築き上げた当屋敷『エンドレスパーティ』では、
すべての時が止まり、老いることも朽ちることもなく、
ただ心地よいお茶会がとこしえに続くのです。
時間を忘れ、俗世を忘れ、ご自身の名前も何もかもを棄てて、
どうぞなんなりとお申し付けください、お嬢様。

(10/29-30 星浜祭にて
UMA研究会「ケモミミ執事喫茶『エンドレスパーティ』」
メニューより一部抜粋)

【クリスティアン神父の日記1】
教会の要請を受けた私は、とある寒村を訪れた。
この土地には古くからヴァンパイアが住む屋敷があるらしい。
村から連れ去られた娘を救出するため、
濃霧が立ち込める陰鬱な森を抜ける。
辿り着いたのは、蒼い煉瓦造りの堅牢な屋敷。
いや、城塞と言ってもいい。不気味な気配が漂う。
連れ去られた娘は果たして無事でいるだろうか。
心配だ・・・。

【クリスティアン神父の日記2】
一体どうなっているんだ、この屋敷は!
フェニックス伯爵と呼ばれるヴァンパイアは、
その美貌と魔力で女性を惑わしている不逞の輩だ。
しかし娘たちは口々に「帰りたくない」と言う。
それもそのはず、獣耳の執事たちに「お嬢様」と呼ばれ、
至れり尽くせりで奉仕されているのだ。
朝方になるまで茶会が開かれ、笑い声は絶えない。
こうなれば伯爵を倒すほか、娘を救い出す方法はないだろう。
神よ、どうかお守りください。

【クリスティアン神父の日記3】
伯爵との戦いに敗れた私は、悪魔の二本角を頭に生やし、
混沌とした意識の中で理性を奪われかけている・・・。
エクソシストとして吸血鬼を倒し、悪魔祓いを成さねば。
だが、今日も体が勝手に身支度を始めてしまうのだ。
もうすぐお嬢様が起床される。お召し物を準備せねば・・・。

【クリスティアン神父の日記4】
室内は不思議な甘い香りで満たされている。
双子のメイド達(マリー千香・メアリー千子)の話によれば、
彼女らもかつて村から連れ去られた娘であり、
伯爵を慕って自ら望んでメイドになったという。
その意志さえも魔力に操られているのではないだろうか?
しかし責めることはできない。私も似たようなものだ。
もはや今では、お嬢様にご奉仕することのみが
しじょうのよろこびとなったのだから
かみよ だらくし わたしを このよう な もう


・・・あの、もういいかい? 宇佐見くんたち。
天野くんが照れを振り切ってがんばっていたから、
俺もがんばって言われるがまま書いてみたけどさ、
先生の職業はあくまで先生なんだよ? わかってるかい?
もう、いいよな。もう終わりにしていいよな・・・。

幸地