流星☆コミュニケーションノート⑤

不真面目な部員に頭を抱えた部長が始めた交換日誌。
幸地先生が血文字赤ペンでちょっとだけ返信します。

表紙の裏に書かれたルールは以下の通り。
担当の者は月曜に顧問に提出すること。 
顧問火曜に部室の所定の場所へノートを返却



12月11日は、我らが渡彗斗先輩のお誕生日でした。
前回は僕と五月先輩がお祝いしてもらったので、
今回は僕たち2人からプレゼントを贈りたいなあと思って。
渡先輩の聡明さには程遠いなりにも一生懸命考えて、
美空先輩や、チカちゃんチコちゃんたちに協力をお願いしました。

しかし名探偵渡先輩の登場にはヒヤヒヤしましたね~。
渡先輩にはもちろん、良心が痛んでストレスになる幸地先生や
うっかりネタばらししちゃいそうなマーベル先輩にも、
フィルムの存在と誕生日計画を隠し通すのは大変だったんですから。
敵を欺くにはまず味方からって言うでしょう?
ああ別に渡先輩が敵ってわけじゃないですよ、もちろん。
てきはてきでも、標的ですし。
気に入ってもらえたらいいんだけどなぁ・・・。
僕は是非訊いてみたいんです。
いま、どんな気持ちですか??

――どうしてこうなった(渡)

嬉しすぎて状況が把握できないんですね、わかりました。
星浜祭のとき、あんなに必死になって目に焼き付けようとしていた
麗しのフェニックス彗斗伯爵にかしずくメイドさんじゃないですか。
そのとき五月先輩が撮影していた秘蔵フィルムです。
さすが、いい腕してますよね。見たいところが全部収められていて。
ほら。これが欲しかったんでしょう?

――力を入れる方向を間違えてる確実に(渡)

もっと素直に喜んでいいんですよ。
誰も咎めたりしませんし周りなんか気にしないでください。
僕たちは渡先輩が喜ぶ顔が見たいだけなんです。
笑ってください、ほがらかに。

――なぜよりによって今日の日誌担当が星治くんなんだ!?(渡)

まあ渡先輩にはあとでゆっくり喜んでもらうとして。
あらためて、お誕生日おめでとうございます。
部員の誕生日をお祝いするって、いいものですね。
いいですよね・・・ケーキがいっぱい食べられますしね!
あとは誕生日パーティー中の寄せ書き欄にしておくので、ご自由にどうぞ。
コミュニケーションノートの残りを使い切っちゃってくださいね。
それでは、いただきますっ!!



渡センパイMutlu Yıllar!!!!
いいナ~。ボクの誕生日にもこんなドッキリしてネ♪予約♪♪
アレ? それじゃドッキリにならナイ??(マーベル☆)

じゃじゃ~ん! 伯爵専属メイドさんブロマイドでーす!(チカ)
超絶レアもの。でも先輩のためなら何枚でも撮って~!(チコ)
あの、渡先輩。これでホントに喜んでくれたんですか・・・?(美空)
ありがとう。君たちは本当に可愛いし素晴らしいと思うんだ。
この写真を普通に公開してくれたら、どんなによかったか・・・
僕を素直に喜ばせないための用意が周到すぎて、もう(渡)
ぜひご家族の見えるところに飾って欲しいですね。居間とか(部長)
断る(渡)
美空先輩、安心してくださいね。
今は渡彗斗っていうイメージを守るためにムリヤリむっつりしてますけど、
家に帰って一人で写真眺めてニヤつくのは目に見えてます(部長)
君はいったい僕をどうしたいんだ!!?(渡)

俺も面白そうだからって星治の計画に乗ったけどさ、
ここまで計画通りに渡をいじり倒せるってのも、すげーな・・・。
星治、頼むからまっすぐ育てよ(五月)
だからセンセも心配して、お水お水って変身しておぼれちゃたのカナ?
ダイジョブ! せーじも渡センパイもみーんな仲良しコヨシさん♪(マーベル☆)
先生。僕は先輩として、この後輩の傍若無人っぷりを
卒業までにある程度更生させなければという決意を固めました(渡)
いや、あの、違うんだ・・・そうじゃなくて。
写真が。今日まともに初めて見たから・・・・・・(幸地)
キュート&セクシーでショ? も~お客サンにも大人気♪(マーベル☆)
だ、大人気!?(幸地)

あーやっぱりね。先生の眼鏡は外しといて正解だったねっ(チカ)
見えてたら、こんなに胸元開いたメイド服許してもらえなかったよねっ(チコ)
えー!? 先生にOKもらったって言うから着たのに!(美空)
OKしてないよ! 全然してない!!(幸地)
ガーターベルトなんて、いいんだー・・・とか思ったりしたのに(美空)
チカチコ裏情報。試着でガーターベルトのつけ方がわからない美空(チカ)
3人がかりでようやく付けられたんだけど、キツく留めすぎちゃって(チコ)
太ももにベルトの跡がくっきり。制服スカートの下は意外とセクシー♪(チカ)
わっ。ちょっと、だめ! そんな情報だれも得しないよっ、もー!(美空)
いや、するでしょ(チカ)
絶対だね(チコ)

あれ? ねえ、最後のページに何かていねいに貼ってあるの。
なんだろう、見てもいいのかな(美空)

あー\(@o@)/(マーベル)
ダメですね(部長)
だめだよ(幸地)
世の中知らなくていいこともある(渡)
だな。見たらとりつかれるぞ(五月)

え? えぇーー??(美空)

先生も昔、男子水泳部だったから覚えがあるけど、
男子が多い部活ってたまにこういう悪ノリをするんだよな・・・。
いや、決してこの写真が悪いってわけじゃないよ。
いい写真だよ。さすが五月くんだなって思うし、
みんなが星浜祭を満喫してるんだなってよく伝わってくるし、
先生だってね、普通にもちろん、それはもう、かわいいなって思ったし。

でもね・・・何に悪いかって、先生の心臓に悪いんだよ・・・。

宇佐見くんたちが予想してた通り、事前に相談があったらね、
この衣装は先生なかなかOKできないよ?
当日を思い出してごらん、先生方や外部の方が大勢来てただろ。
校長先生とか教頭先生とか教育委員会の偉い人とか、PTAとか。
それなのに教え子にこんな大胆な格好させて、
俺、どんな教育をしてるって思われたんだろう・・・
しかもこの事実に気付くまで約2ヶ月もかかったなんて・・・
おまけに大人気って。つまり男に大人気だったってことだろ・・・
それは大人気にもなるよ。当たり前だよ。当然じゃないか。
その様子を想像しただけで胃がキリキリ痛むし、
水を張った洗面台に頭から突っ込みたくなるし・・・。
もう、何もかもが心配で心配で心配で。あああ。

渡くんをドッキリさせる仕掛けだったはずなのに、
なんで俺がドッキリさせられてるんだろう?
今年も終わるっていうのに、俺はやっぱり不幸だなあ・・・。


――今年も終わるっつーか、まずこのノートが終わるよな(五月)
――ハーイ! 次のノートもちゃんと準備ばんたんだヨ♪(マーベル☆)
――その前に一件、提案がある・・・
やっぱり僕はローテーションの再検討を要求する(渡)
――は? なんですかまた(部長)
――この順番には部長の意図的な何かがあると確信したからだ(渡)
――だから先輩、たまには人を信じるってことをしてみましょうよ(部長)
――そうしたいのは山々だが、そうさせてくれないのが君なんだ!(渡)
――順番シャッフル? じゃーボク美空の次とった♪(マーベル☆)
――譲りません(部長)
――別に順番なんか関係ねーけど、そこはジャンケンだろ(五月)
――いや、全員が納得する結論を導き出すためにも
事前に綿密な議論を重ねるべきだ。部活会議を開こう(渡)
――あいつの前か後ろがいいって言い合うだけで終わるぞ、その会(五月)
――五月先輩までそういう姿勢なら、もはや話し合う余地はないですね。
それでは現状維持ということで(部長)
――え~~? ぶーぶー▽>ェ<▽ノシ(マーベル☆)
――やっぱり意図的なんじゃないか!(渡)
――おい、結局だれが次の当番なんだよ!(五月)

ああ・・・ホントにまだまだ、みんな子どもだなぁ。
この調子じゃ、しばらく順番は決まらなさそうかな?
先生は、またみんなの日誌が読めるのを楽しみに待ってるよ!
(幸地)